A Tsuchihashi Masahiro film
TRUTHS: A STREAM
登場人物
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橘響子 29歳
・・・山下葉子
橘 響子は貴族院から続く参議院議員である父の第二秘書を務めている。本来その立場は彼女の弟である憲一が継ぐべきものであった。しかし憲一の突然の病死により、響子は志していた人類学者の道をあきらめ、政治家として身を立て、橘家の全てを引き継ぐことを余儀なくされている。
彼女は厳格な両親の厳しい躾と、幼少時代の特殊なキリスト教体験により、自分は犠牲的精神をもって橘家のために生きなければならないと考えていた。それゆえ彼女は自分には苦痛以外の何物ももたらさない、欺瞞と私欲に満ちた家業である政治の道へ身を捧げることを決意したのだった。
誠実かつ頭脳明晰な彼女は、橘家を取り巻く全ての人々の期待を背負っていた。しかし、響子の心の底には、長年押し止めてきた自由への渇望や、俗悪な人間たちとの仕事で汚れていく自分を許せないという気持ちが、次第に大きく膨れ上がってきていたのだった。
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冴木峻一 29歳
・・・馬野裕朗
冴木 峻一は大学で教鞭をとる社会学部助手である。鋭い洞察による独創的な研究論文を幾つか発表して海外では高く評価されているが、そのことが大学の老教授たちの嫉妬を買い、日本の学会では現在のところ無視されている存在である。
学生時代、響子は峻一の恋人であった。ともに真摯に真理を探究する者として魅かれあっていた。しかし、大学院卒業後、響子が父の秘書として働くことを決めると、二人の関係は打ち切られることになる。妥協を許さず理想を追求している峻一には、響子の選択は欺瞞以外の何物でもなかったのだ。
峻一には、幼い頃から常に「死への渇望」があった。それは彼が、あらゆることに秀で、人生における様々な闘争に勝利したところで、何ら変わることはなかった。そして遂に彼は決断する。逃れようのない「馬鹿馬鹿しさの大系」を終結させることを…。
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樋口香織 23歳・・・
中村優子
つい先頃まで峻一の恋人であった人物。大学院でフランス文学を学んでいる。峻一の教え子でもあった。その美貌と、天使と悪魔が同居しているような言動で、誰をも魅了してしまう学内のヒロイン的存在。
彼女は、何事をも目標通りに達成する峻一に憧れて付き合い始めたのだが、彼があまりに理想に固執するのに嫌気がさして、別れることを決めた。現在はもっと現実的に仕事をこなす、文化人タレントの助教授と付き合っている。
しかし、峻一に引き込まれた老人介護のボランティアだけは自分の意志で続けていた。だが、その活動の代表者が多額の補助金詐欺を働いたことが報道され、香織は真相を確かめるべく、峻一を訪ねるが、彼はすでに何処かへ消え去った後だった。
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折原徹 38歳・・・
河田義市
響子の母方の従兄である弁護士。幼少時から響子の兄のような存在として彼女を守ってきている。響子が最も信頼する人物といえるだろう。彼は苦労して司法試験に合格し、社会的弱者の弁護を進んで行う人権派弁護士である。それゆえ収入は、肩書きに対して、多くないのが実情である。
徹は、権欲にまみれた橘家をあまり好ましく思っていない。そして、職場にも家庭にも安らぐ場所のない響子の現実を見知っており、本来の彼女にふさわしい生き方が出来ないのを残念に思っている。時には響子の言動が彼の信条と対立することもあるが、最後には、徹はいつも「響子の
味方」であり続けるのだった。
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折原智美 28歳・・・中江絵美
徹の妻。最近出産したばかり。響子とは良き友人関係にある。利害なく自由に話せる友人が持ちづらい環境にあって、智美は響子にとって数少ない「本当の」友人といえる。
智美は、強さと優しさを合わせ持つ響子を尊い慕っているが、彼女が不幸なことも何となく感じ取っている。智美自身は自分の小さな幸せに満足しているので、響子のような人生は少し羨ましくもあるが結局のところは可哀相だと思っている。智美が響子と素直に話せるのは、彼女のことを、「別世界に住む精霊が肉体を身にまとった」ような存在として感じているからかもしれない。
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廃虚の男
年齢不承 50代前半に見える。朽ち果てた煉瓦造りの廃虚に、拾い集めた廃品で創り上げた祭壇らしきものを飾っている者がいる。それがこの一風変わった風貌の男らしいのだが…。
その他
響子の叔父、叔母、従姉妹たち、秘書、精神科医など。
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