ストーリー
主人公の橘響子は参議院議員である父の第二秘書を務めている。
ある夜更け、彼女のもとに大学時代の恋人、冴木峻一が訪ねてくる。
彼は常々考えていた自死を決行することに決め、しかも響子に共に死のうと誘いに来たのだった。
逃れようのない「家系」の重さに押し潰されそうになっていた響子は峻一の誘いを受け入れ、二人は響子の祖父が遺した山嶺の奥に眠る土地へと向う。
人界から切り離された自然の真只中で、どのようにして死すかを考えるうちに、彼らは、ただそのまま消え去るのではなく、自らの死を充実させることによって、生の最期の瞬間を輝かせようと思い立つ。
そして響子と峻一は、自分たちの手で自分たちの墓を作り、作り上げた時に自死を執り行うことを決意する。
しかし響子の心の内には秘められたもう一つの思惑もあった…。